ヒストンの選択が規定する骨格筋再生メカニズムの解明, Functional analysis of histone H3.3 sub-variants in skeletal muscle regeneration, 小松 哲郎, Komatsu Tetsuro, 日本学術振興会, Japan Society for the Promotion of Science, 科学研究費助成事業 若手研究, Grants-in-Aid for Scientific Research, 若手研究, Grant-in-Aid for Early-Career Scientists, 九州大学, Kyushu University, 2018年04月01日, 2020年03月31日, ヒストンバリアントH3.3は初期発生、分化における選択的遺伝子発現制御に不可欠な役割を担っている。近年、H3.3にアミノ酸配列の酷似した「H3.3サブバリアント」の存在が明らかとなった。中でもH3mm13は骨格筋幹細胞で発現することが示唆されたため、ノックアウト(KO)マウスを作成し骨格筋での機能解析を行なった。結果、KOマウスに形態上異常は見られず、また蛇毒を用いた筋再生実験においても野生型と比べ顕著な差は認められなかった。同様に、H3mm11といった他のH3.3サブバリアントのKOマウスも正常に出生することが明らかとなった。従って、これらH3.3サブバリアントは正常な発生、分化には必須でない可能性が示唆された。一方で、H3.3との高い配列類似性から、H3.3とサブバリアントでは互いを機能的に相補している可能性が考えられた。なお、H3.3サブバリアントにはH3mm13等とは異なり安定的にクロマチンに取り込まれないものも存在している。このうち、H3mm18を骨格筋芽細胞C2C12細胞に強制発現させたところ筋分化が抑制された。NIH3T3線維芽細胞にMyoDを強制発現させ骨格筋形質転換を誘導する系においてもH3mm18強制発現による筋分化抑制が観察された。また、生化学的解析から、H3mm18はH3.3特異的シャペロンであるDaxxと相互作用することが示唆された。以上のことから、H3mm18は自身はクロマチンに取り込まれないものの競合的にH3.3のクロマチンへの取り込みを阻害することで筋分化を負に制御する可能性が示唆された。, Histone variant H3.3 plays a critical role in regulating gene expression during development and differentiation. In this study, we analyzed the role of H3mm18, one of the “H3.3 sub-variants” expressed in skeletal muscle. Transcriptome analysis using mouse samples as well as culture cells revealed that H3mm18 regulates expression levels of myogenic genes upon skeletal muscle regeneration and/or differentiation. Furthermore, biochemical experiments suggested that H3mm18 itself is not stably incorporated into chromatin but regulates myogenic chromatin structure by competing with H3.3 in histone deposition., 18K16664